【酔っぱらいでもわかるビールの歴史①】
人はいつからお酒を飲んでるの?
最近メディアでは「若者のアルコール離れ」がやたらと喧伝されている。
海外では”Sober Curious”なんて風潮もある。それはそれでいいけれど、アルコールが我々人類にもたらす恩恵は決して少なくないはずだ。
本コラムでは、アルコール(主にビール)と人類の長い付き合い(=歴史)を紐解きながら、適度に微生物にも触れながら(一応微生物メディアなので)、現代における「イケてるアルコールとの付き合い方」を模索したいと思う。
※本コラムは酔っぱらった読者にもわかるよう、なるべくざっくりした情報提供と主張を心がける。また、筆者は基本酔っぱらった状態で記事を執筆している(顧客視点)。
目次
人類はいつからアルコールを摂取してるのか
人類とアルコールの歴史をネットで調べて見ると、詳しいことはさておき、「とにかく古い」ということだけがわかる。紀元前4,000年とか、7,000年とか色々出てくるが、正確な起源は酔っぱらいにとってはどうでもよい。誤差のうちである。
うんちくを語る上で重要なのは、『中学校で習った「四大文明」の頃には、すでにビールが飲まれてたんだぜ』ということ。キリストが生まれるはるか昔、エジプト人がピラミッドをつくっていた頃である。
人類が気まぐれで農耕を始め、穀物(大麦など)を貯蓄するようになり、パンがつくれるようになり、パンに水をかけたらビールになったんだって。もちろん当時、それが微生物の仕業だなんて誰も知らなかった。
個人的には、そんな原始的な飲み物を「ビール」って呼んでいいの!?とは思うけど、「ビールの起源」で調べるとそんなことばかり書いてある。とにかく重要なのは、「アルコールの歴史は文明の幕開けと共に始まってたくさい」ということ。「Sober Curiousとか言ってる奴らマジなめんなよ!」と言ってやりたいですね。
バビロニアの酔っぱらい達はなぜ、ハンムラビ法典にビールのつくり方を載せたのか
どんなに歴史に疎い理系のオタクでも、「ハンムラビ法典」は知ってるはずだ。「目には目を、歯には歯を」で有名なアレだ。ちなみにこの一文、一見すると半沢直樹的な「やられたらやり返す、倍返しだ!」を肯定する文章のように見えるが、実はその逆らしい。
“同害報復は古代における粗野で野蛮な刑罰とされてきたが、「倍返しのような過剰な報復を禁じ、同等の懲罰にとどめて報復合戦の拡大を防ぐ」すなわち、予め犯罪に対応する刑罰の限界を定めることがこの条文の本来の趣旨であり、刑法学においても近代刑法への歴史的に重要な規定とされている。*1”
*1 Wikipedia
なんと高尚なっ…!!
同じ文章でも時代や立場を変えてみると、こうも意味合いが変わってくるんだね。
そんなハンムラビ法典には282の条文があるが、そのうちいくつか、ビールに関する条文が混ざってるそうだ。「もっと他に書くことなかったの?」と思ってしまうが、それだけビールが当時の人々にとって身近で大切な存在だったということだろう。
ハンムラビ法典はハンムラビ王が作成したものだが、その編纂には今でいう役人みたいなサラリーマンたちが携わっていたはず。彼らも「あーでもない、こーでもない」なんて遅くまで議論しながら、〆切と闘いながら、仕事が終わったら美味いビールをガブガブ飲んでいたのだろう。それで調子のいい奴が悪ノリで、「俺たちが大好きなビールの条文もブチ込んだろ!」とか言ってそのまま通っちゃった。そんなわけないだろうけど、酒飲みながらこういう妄想をするのも面白い。
あれ、なんの話だっけ
というわけで、人類は太古の昔からアルコールが大好きだったことがわかった。「アルコール」なんて知りもしない人たちが、たまたまできた得体の知れない液体に魅了されてしまったのである。科学が発展した現代からすれば、人類は長い間、アルコールと「ノリで」付き合ってきたも同然である。
次回か次々回くらいから、酵母が発見され、ビールがより”サイエンス”っぽくなっていく歴史を紐解いていく。でも昔の人たちは、「気分良くなれて、貯蔵もできるしビール最高じゃん!」くらいで問題なく、ただ美味しく酒を飲んでいたことも忘れずにいたい。