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2種類のカビを共培養することで、抗生物質の産生が誘導されることを発見

2種類のカビを共培養することで、抗生物質の産生が誘導されることを発見

イギリスのフレミング博士が世界初の抗生物質「ペニシリン」をアオカビから発見してからおよそ100年が経つ。カビが作り出す様々な化合物は「二次代謝産物」と呼ばれ、ペニシリンの発見以降、医薬品の開発に大きく貢献してきた。近年、驚くべきことに、カビが物質を作り出す能力の多くは実験室での培養条件では眠ったままになっていることがわかってきている。二次代謝産物を作り出すには「生合成遺伝子」という遺伝子が必要だが、実験室条件では生合成遺伝子が十分に機能しないのである。このような遺伝子は、文字通り「休眠遺伝子」と呼ばれる。何らかの方法によって休眠遺伝子を目覚めさせることができれば、これまでに知られていない二次代謝産物を得ることができると期待される。

休眠遺伝子を起こすためによく用いられる方法が、カビを他の微生物と一緒に培養する「共培養」という方法である。これまでに、共培養によって新しい物質を発見したという報告は数多く挙がっているが、しかしながら、共培養によってどのようなメカニズムでその物質が作り出されるかについては理解が進んでいない。そこで、本研究グループは、そのようなメカニズムの理解を目指して、物質産生を促すカビ同士の共培養の組合わせを探索した。

本研究で使ったカビは、カビのモデルとして、遺伝子の機能などが最もよく研究されてきたカビ4種である。なぜならば、このようなカビを使うことで、共培養が物質産生を導くメカニズムの研究を有利に進められると考えたためである。

その結果、2種のカビAspergillus nidulansAspergillus fumigatusの共培養によって、ジフェニルエーテルという抗生物質の産生が誘導されることを発見した。さらに、A. nidulansが持つ4つの遺伝子―二次代謝産物の骨組みを作る遺伝子1つと、修飾を施す遺伝子3つ―によってジフェニルエーテルが作られることを明らかにした。これら4つの遺伝子は、オルセリン酸生合成遺伝子クラスターと呼ばれる遺伝子の集まりに含まれている。興味深いことに、A. nidulansをある細菌と共培養した場合にも、オルセリン酸生合成遺伝子クラスターが発現することが報告されている。(文献)しかしながら、2種類の共培養―A. nidulans / A. fumigatusA. nidulans / 細菌―で作られる物質の種類は異なっている。

すなわち、A. nidulansは共培養する相手に応じて、同じ遺伝子クラスターから異なる物質を作り出すことが示唆された。本研究は、二次代謝産物を介した微生物同士の複雑な相互作用を理解する一助となると期待される。

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