#012
腸内乳酸菌
Enterococcus faecalis
動物の腸内に常在する乳酸菌のひとつ。Enteroは腸内、coccusは球菌を意味する。乳酸発酵によって糖などから乳酸を産生して周囲を酸性にする。写真の左は野生株、右は乳酸産生能を欠損させた変異株。野生株では培地に添加された炭酸カルシウムが産生された乳酸によって溶解・透明化しているが、乳酸を産生できない変異株の培地では炭酸カルシウムが溶解せずに白濁したままである。
各コロニーの大きさを比較してわかるように、意外にも乳酸菌は乳酸産生能を失った方が良好な生育を示す。これは、乳酸を産生するくせにたいして酸性環境に強くないという乳酸菌の自虐的性質による。が、その己の身をかえりみないファイト?のおかげで、我々の腸内細菌叢の安定が保たれていることを忘れてはいけない。合掌。
photo&text: 筑波大学 生命環境系 土肥 裕希助教