#016
コーヒーさび病菌
Hemileia vastatrix
殆どのサビキンの夏胞子は、球形〜楕円形、倒卵形で、ほぼ対称な形を持ち、表面のほぼ全面が刺状または疣状の突起で覆われている。しかし、この菌の夏胞子は、半球形で、凸表面は刺状の突起で覆われ、凹表面は平滑というユニークな特徴を持つ。また、この夏胞子は、気孔から外に伸出した菌糸の束の先端に作られた胞子形成細胞から形成され、これも他の一般的なサビキンとは異なる特徴だ。
コーヒーの木は常緑樹だが、このサビキンに激しく感染された葉は落葉してしまい、木の樹勢に大きな影響を与え、もちろん収量にも影響が出る。コーヒーのさび病は、コーヒーを栽培している世界中の地域で、非常に大きな問題になっている。歴史的には、イギリス人が紅茶好きになったきっかけはセイロン島でのコーヒーさび病の発生と言われている。
photo&text: 筑波大学 生命環境系 山岡 裕一教授