#017
新型コロナウイルス
Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus-2
冬季に風邪症状を引き起こす病原体のひとつであるコロナウイルスの亜種。SARS-CoV-2に感染することで、発熱や咳が引き起こされ、重症例では肺炎症状を呈する。SARS-CoV-2による、これらの急性呼吸器症状をCOVID-19とよぶ。
コロナウイルスの自然宿主はコウモリだと推定され、鱗をもつ唯一の哺乳類であるセンザンコウを中間宿主として、SARS-CoV-2はヒトに伝播したと考えられている。
SARS-CoV-2が感染することで、細胞は仮足(フィロポディア)とよばれる細長い足場を形成する。この仮足は、アクチン繊維が細胞膜直下で伸展することで形成され、通常の細胞でみられる仮足よりもSARS-CoV-2感染細胞では極端に長い仮足が形成される。
ウイルス粒子は仮足の先端からも出芽することがわかっており、ウイルスが付着した仮足を伸ばすことで、周囲の細胞に子孫ウイルスが伝播しやすくなると考えられている。
photo&text: 筑波大学 医学医療系 川口 敦史教授