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世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選

世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選

チーズや生ハム、味噌など、これまでの数々の発酵食品を紹介してきたmics magazine。日本の発酵食品の多さはお墨付きですが、世界にはさらにびっくり仰天の発酵食品があるんです。そこで今回は編集部がおすすめ(?)する世界の発酵食品を10品セレクト。納豆の比べ物にならないほど臭い食品、意外と発酵食品だと知られていないもの。全部食べ切ることができれば、あなたも発酵食品マスターになれるかも?!


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1.シュールストレミング

世界一臭い食べ物」として有名なニシンの缶詰。テレビのバラエティ番組やYouTuberがこぞって取り上げているため、実際に食べたことはなくても見たことがある人は多いと思いおます。

通常、缶詰は長期保存を目的としているため殺菌してから封をしますが、シュールストレミングは意図的に缶詰内で発酵を進行させるため、殺菌しない状態で封をします。ハロアナエロビウムという嫌気性細菌の一種が発酵の過程で炭酸ガスを発生させるため、内圧が高まってあの独特な膨らみのある形状になり、缶切りを刺した時に派手に内容物が飛び散るというわけです。

ニシンの身をタマネギやトマトなどの野菜と一緒にパンにのせて食べるのが一般的ですが、日常的に食されているのはスウェーデン北部の一部地域のみ。日本でも購入できるようですが、もともと寒い地域でつくられている缶詰なので、温暖な日本の気候下では発酵が進みすぎてニシンの身が溶けてしまうとも言われています。

2.ホンオフェ

韓国で食される、切り身にしたエイを壺の中で数日間発酵させた食品。シュールストレミングに次ぎ、世界で2番目に臭い食べ物と言われています。

エイの身にはアンモニアが多く含まれており、食べると強烈な刺激臭が喉から鼻に抜けていきます。またアンモニアはアルカリ性のため、はやく飲み込まないと口の中がただれてしまうという危険性もある食べ物です。

しかし、当の韓国の一部地域では冠婚葬祭に欠かせない高級料理として親しまれています。実際に食べた人も、匂いこそすさまじいものの、食感や味はとても良いと評価され、好みが大きく分かれる料理です。

3.ハカール

アイスランドで伝統的に製造されている、サメを発酵させてから水分を飛ばし、干物のようにした食品。サメの身にはアンモニアが多く含まれており、口に含むと韓国のホンオフェ同様、強烈な刺激臭が鼻に抜けていくと言われています。味としてはチーズのような風味があり、同じくアイスランドの名物・ブレニヴィンという蒸留酒と合わせるのが一般的とされています。

若い世代は日常的に食べはしないとのことですが、スーパーなどでも普通に売っていて、お年寄り世代には好んで食べる人もいるそうです。

4.キビヤック、コパルヒン

画像はイメージです

アイルランド領・グリーンランドやロシア北部、アラスカやカナダなど、極北地域に広く伝わる、肉を発酵させた保存食。

キビヤックは海鳥をアザラシの皮の中に詰め、2ヶ月から半年地中に埋めることで出来上がります。発酵し、半分液体になった海鳥の内臓や肉をそのまま食べたり、調味料として使うこともあるようです。コパルヒンはセイウチをさばいて肉と皮に分けたあと、袋状になった皮に再度肉を詰め、キビヤック同様地中などで数ヶ月放置して完成します。北極圏では貴重な動物性タンパク質を、長く厳しい冬にも食べられるように加工した伝統的な発酵食品です。今日でもイヌイットやエスキモーなどの民族の間で引き継がれています。

どちらも発酵食品としては珍しく、鳥類や哺乳類の肉そのものを発酵させたもの。最近「熟成肉」というものが流行っていますが、あちらは肉を塩漬けなどにすることで菌の活動を抑えて長期間保存を可能にしているため、意味合いが大きく異なります。

5.マーマイト

主にイギリスで愛されている(?)、ビールの製造過程で発生した麦の搾りかす、言うなればビールの酒粕を加工してできあがる発酵食品。見た目は黒いピーナッツバターのようで、独特な風味があるため日本ではあまり食されていません。イギリスではトーストに塗るのが一般的な食べ方とされています。

栄養価が高く、第二次世界大戦中にはビタミン剤として軍に支給されていたほど。また、近年ではベジタリアン、ヴィーガンとして生活する人たちからも注目され、国外でも需要が増えつつあります。

また、オーストラリアの「ベジマイト」、ニュージーランドの「ビタマイト」など旧英国領の国々でも同じようなものがつくられています。しかし、いずれの国でもやはり好き嫌いはあるようで、日本でいう納豆のような存在です。

6.ナンプラー

エスニックフードブームでパクチーとともに日本で一般化したタイの調味料。日本語だと「魚醤」と呼ばれ、魚を塩漬けにして発酵させた調味料で、独特な匂いがあります。しかし、実は魚醤自体は日本の「しょっつる」、中国の「ユールー」、ベトナムの「ヌクマム」、フィリピンの「パティス」など多くの国で古くから利用されているものなのです。さらにはイタリアにも「コラトゥーラ(ガルム)」と呼ばれる魚醤があり、決してアジア特有のものというわけでもありません。

ちなみに、インドネシアの魚醤「ケチャップ・イカン」のケチャップはトマトケチャップと語源が同じ。古代中国の魚醤「ケ・ツィアプ」が「塩漬け」の意味としてヨーロッパやアメリカに伝わり、後にトマトを用いてつくられたのがトマトケチャップの始まりと言われています。

7.ザワークラウト

ドイツ発祥の「キャベツの漬物」。ヨーロッパ全般、アメリカでも食されることが多い、付け合わせの鉄板とも言える発酵食品です。

「すっぱいキャベツ」の名前の通り酢漬けにしたような酸味がありますが、これは酢によるものではなく、キムチなどの漬物と同様に乳酸発酵によるものなのです。つくるのもとても簡単で、刻んだキャベツに塩と香辛料などを加え、数日重しをのせて水分を切れば完成。日本の漬物とほぼ製法が同じです。

似たような食品で、ハンガリーやルーマニア、ブルガリアなどヨーロッパ南東の国々では、キャベツを刻まずにまるごと発酵させた「サワーキャベツ」というものもあります。

8.ナタデココ

90年代に日本中でブームを巻き起こしたナタデココ。実はこれも発酵食品なんです。

発祥はフィリピンで、1950年代に偶然できた比較的新しい食べもの。ココナッツの実に入っているココナッツジュースにその名も「ナタ菌」と呼ばれる酢酸菌の一種を加えることで表面に半透明の膜が形成されます。この膜を賽の目状に切り出すと、コンビニでもよく見るナタデココの状態になるわけです。

ナタ菌(グルコナセトバクター・キシリナス)はフィリピン政府が輸出を禁止していますが、自然界に存在する菌なので運がよければどこかで手に入るかもしれません。ナタ菌でなくとも酢酸菌を使えば比較的容易に自作することも可能なようですが、試す際は自己責任で。

9.タバスコ

現在のアメリカ合衆国は独自の食文化が薄いと揶揄されることが多くあります。とりわけ発酵食品に関しては、パンやチーズ、ビールなど世界中で生産されているものはあっても、アメリカ発祥と言えるものはあまり多くありません。そんな中で、タバスコはアメリカ発祥の発酵食品と呼んでも差し支えないでしょう。

唐辛子と塩、酢を混ぜて発酵・熟成させたこのソースは1868年に開発されて以来、基本的な製造方法は変わっていません。適度に辛みを下げるためにオーク樽で3年間熟成させるなんて、まるでウイスキーのようです。「タバスコ」という名称はメキシコのタバスコ州に由来しており、そこで育った唐辛子を使っていたためこの名をつけたとされています。日本には第二次大戦後に入ってきて、今日でも広く愛されています。

アメリカ人は発酵食品が嫌い、なんて言われることもありますが、最近では日本をはじめ、世界中の発酵食品がアメリカ国内でも愛されています。

10.パルショータ

画像はイメージです

酒は世界中で親しまれ、最も古い発酵食品のひとつとも言えます。日常品としても趣向品としても、あるいは祭事で用いられることもありますが、世界にはお酒を「主食」とする人々が住んでいます。

エチオピアの一部地域の人々の食事は「パルショータ」「カララ」「ネッチ・チャガ」と呼ばれるトウモロコシを原料としたアルコール飲料を摂取するのみで、基本的にそれ以外の穀類や肉類等を口にすることがありません。彼らは1日あたり3〜5kg、多いと7kgものパルショータを摂取します。栄養が偏るのではないかとも考えられますが、カロリー、タンパク質、必須アミノ酸等はWHOの推奨値以上を摂取できるという研究結果もあり、発酵によって栄養価が向上することがわかっています。

パルショータのアルコール分は3%ほどですが、長い時間をかけて少しずつ摂取するので酔っ払うことはないそうです。

エイ、サメ、アザラシ、セイウチ、ココナッツや唐辛子など、その土地でとれるものや気候によって、食文化も様々です。さらには、長い年月を経て世界中に広まったものもあれば、反対にずっと狭い地域でしか伝わってきていないものも少なくありません。ややもするとゲテモノ料理扱いされがちな発酵食品ですが、その背景には先人たちの知恵と工夫が積み重なっているのです。

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