#011
アクリルアミドおよびニコチンアミド工業生産菌
Rhodococcus rhodochrous
Rhodococcus属はグラム陽性の放線菌目ノカルディア科に属する細菌である。
広く環境中に存在し、芳香族化合物の分解や有用物質の生産を行う能力を有する
ことから産業上、幅広い利用が期待されている微生物である。
その中で、ニトリル分解資化能を指標に分離されたRhodococcus rhodochrous
J1菌は、毒性を有するニトリルを分解することから環境浄化面で有用であり、ま
た、ニトリルをアミドに変換することからアミド生産に威力を発揮する微生物で
ある。
現在、本菌を用いたアクリロニトリルからアクリルアミド工業生産が、また、
3-シアノピリジンからニコチンアミド工業生産が行われている1。
また、本菌においてニトリル分解酵素が誘導的に著量生成する機構が解明され、
その機構を利用した高度遺伝子発現システムが開発されている2。
photo&text: 筑波大学 生命環境系 小林 達彦教授
参考:
[1] 講談社ブルーバックス「バイオテクノロジーの教科書(上巻)」295頁.
[2] Nature Biotechnol. 16巻, 733頁 (1998年); PNAS 101巻, 14031頁 (2004年).