#015
Sinomonas sp. No.22
Sinomonas sp. No.22
一見何の変哲も無いコロニーであるが、この菌はスクリーニングにより土壌から単離したSinomonas sp. No.22という細菌で、最大の特徴はセサミンを炭素源として生育可能なことである。セサミンとは、ゴマに含まれ、抗酸化作用が注目されている生理活性物質でリグナンの一種であり、炭水化物(糖)では無い。この細菌は他の生物同様、炭水化物も代謝できるのだが、炭水化物が無い場合でもセサミンと硫酸アンモニウム(窒素源)、微量金属さえあれば増殖することができる。すなわち、セサミンを代謝し、生存に必要なエネルギーを作り出す特異な代謝経路をもっていることになる。
我々はその代謝経路の解明に取組み、セサミンのメチレン基をテトラヒドロ葉酸に転移させるSesAという酵素がその代謝経路の最初の段階を触媒していることを明らかにした。SesAのホモログは他の土壌微生物にも見られる。自然界においてセサミンのようなリグナン類の分解はそれら微生物が担っていることが推定される。
photo&text: 筑波大学 生命環境系 熊野匠人助教