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緑膿菌
Pseudomonas aeruginosa
土壌から海洋まで自然界に広く分布するグラム陰性細菌で、免疫の抵抗力が大きく低下している人に対して感染する日和見感染菌である。名前の通り、緑色の色素を産生する特徴を持ち、独特な甘い香りがして、酸素がなくても窒素酸化物を用いて呼吸(脱窒)できる。抗生物質耐性が高く、有効であった抗生物質に対しても多剤耐性化するため、世界中で問題となっている。
緑膿菌は仲間とコミュニケーションをとることが知られており(クォラムセンシングとも呼ばれる)、少なくとも三つの”言語”(シグナル化合物)を用いている。シグナル化合物にはメンブレンベシクルと呼ばれる封筒の役割を担うものを介して伝達されるものもある。また、集団(バイオフィルム)を形成し、変異により自身をスライム物質(アルギン酸)で覆ったムコイド株に”変身”するなど、様々な環境適応能力を有し、感染症の難治化にも繋がっている。