#010
L-グルコース資化菌
Paracoccus laeviglucosivorans
地球上のほぼすべての生命がD-グルコース(ブドウ糖)を代謝し、エネルギーを獲得して生存しているのに対して、その鏡像異性体のL-グルコースを代謝できる生命はいないと、長い間考えられてきた。
この菌は、L-グルコース代謝能を持つことが明らかになった初めての菌で、筑波大学周辺のキャベツ畑の土壌から分離したものである。従って、従来いないと考えられてきたL-グルコース資化菌が、実際には我々の身近に存在していたことになる。
この菌はParacoccus属の新種であることが判明したので、「L-グルコースを食べる」という特徴からP. laeviglucosivoransと命名した。また、この菌のL-グルコース代謝経路も明らかにし、D-グルコースの代謝経路とは異なる新しい代謝経路であった。
photo&text: 筑波大学 生命環境系 中村 顕 教授