筑波大学生命環境系 久能樹准教授、Utada S. Andrew准教授、野村暢彦教授らの研究グループは、東京慈恵会医科大学 杉本真也准教授、筑波大学生存ダイナミクス研究センター 岩崎憲治教授との共同研究により、鉄酸化細菌Leptothrix属が分泌するナノ繊維が、表面接着、および細胞フィラメントの伸長や方向を制御することを明らかにしました。
Leptothrix属細菌は、ナノ繊維を分泌することで細胞フィラメントを覆うチューブ原基を形成します。これが酸化鉄粒子に覆われたチューブとなり、集団(バイオマット)を構築して生息しています。しかしながら、なぜナノ繊維を分泌するかは、不明なままでした。本研究では、特殊なマイクロ流路デバイスを用いることで、細胞フィラメント形成初期段階のリアルタイム観察に成功し、分泌ナノ繊維の新たな機能を発見しました。これらは、細胞フィラメントや酸化鉄チューブ形成に対する重要な基礎的知見を提供するものであると同時に、顔料、電極、触媒、農薬など、Leptothrix属細菌のつくるチューブの応用利用に向けた、材料特性の向上に役立つと期待されます。